Dressing Up: Pushpamala N

　シャネル・ネクサス・ホールで「Dressing Up: Pushpamala N」が開催される。

　同館は、昨今よりアジアのアーティストにフォーカスした展覧会シリーズを展開してきた。2025年前半の展覧会では、写真を主なメディアとして創作活動を行うアジアのアーティストにフォーカスしたシリーズの第2弾として、インド出身のアーティスト、プシュパマラ・Nを紹介。

　プシュパマラは、インド・バンガロール（現ベンガルール）を拠点に多分野で活動。彫刻家として活動を開始し、1990年代半ばから様々な役柄に扮し、示唆に富んだ物語をつくり上げるフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの創作を始める。作品は、女性像の構築や国民国家の枠組みといったテーマに取り組んでいる。

　国内初個展となったKYOTOGRAPHIE、そして今回の東京・銀座シャネル・ネクサス・ホールの展示では、「Phantom Lady or Kismet」「Return of the Phantom Lady」「The Navarasa Suite」の3つのシリーズを紹介。これらの作品は、インド映画の「黄金時代」に登場する典型的な女性キャラクターに着想を得たものだ。伝統と現代性、アイロニーを融合させながら、インドにおけるジェンダー観に鋭く切り込む。神話や民間伝承、大衆文化を引用しながら、視覚的な表現が文化的記憶や国民的アイデンティティの形成にどのように影響を与えるのかを考察する。

　本展を通じて、歴史やジェンダー、権力に対する鋭い考察を提示し、イメージが集合的・個人的アイデンティティの構築にいかに関わっているのかを問いかける。