BLUMが三島喜美代のエステートと専属契約。アート・バーゼルやNY、LAでの作品展示を予定
国際ギャラリーBLUMが、現代日本を代表する女性アーティストのひとり・三島喜美代のエステートと専属契約を締結し、アート・バーゼルやニューヨーク、ロサンゼルスでの展覧会開催を発表した。

ロサンゼルスを本拠地にグローバルに展開するギャラリーBLUMは、2024年に逝去した日本のアーティスト・三島喜美代(1932〜2024)のエステートと専属契約を締結したことを発表した。
陶による表現とアッサンブラージュ技法の先駆者として知られる三島は、ネオ・ダダやポップ・アート、環境芸術といった国際的な美術動向と共鳴しながらも、独自の視点から鋭い社会批評を行ってきた。その作品は、6月にスイス・バーゼルで開催されるアート・バーゼルにてBLUMから初めて発表されるほか、9月にはBLUMニューヨークでのグループ展「Written with a Splash of Blood」、11月にはロサンゼルスのBLUMでキャリアを概観するサーベイ展の開催が予定されている。
1932年に大阪で生まれた三島は、戦中戦後の時代を生きながら、油彩画や写真を経て、60年代半ばからは新聞や印刷物などを使ったコラージュ作品を制作。その後、70年代初頭からは陶を用いた表現に転じ、新聞紙や段ボール箱、缶詰などを模したリアルな陶芸作品で注目を集めた。「壊れる印刷物」と称されたこれらの作品は、情報と消費の儚さをユーモラスかつ鋭く表現している。
代表作のひとつ《20世紀の記憶》(1984–2013)は、約30年かけて制作された1万600個の耐火レンガにシルクスクリーンで新聞の情報を転写した大規模インスタレーションで、情報の質量と記録のあり方を問うものである。
国内外で高く評価されてきた三島の作品は、森美術館(東京)、シカゴ美術館、ポンピドゥー・センター(パリ)、M+(香港)など、世界各地の美術館に所蔵されている。2024年には練馬区立美術館で回顧展「三島喜美代―未来への記憶」も開催された。
BLUMは今回の契約について「多様な芸術実践でしられる三島は、戦後日本にとどまらず、世界の現代美術史を押し広げる存在であり、そうした革新的なアーティストへのコミットメントはBLUMの礎にもなっています」とコメントしている。