2025.4.10

「散歩」がつなぐ、アートと人々。「東京ビエンナーレ2025」が開催概要を発表

今年10月にスタートする「東京ビエンナーレ2025」が開催概要を発表した。「いっしょに散歩しませんか?」をテーマに、国内外のアーティストによる多彩な展示が行われる。

「東京ビエンナーレ2023」の展示風景より

 2021年に初めて開催され、今年で3回目を迎える「東京ビエンナーレ」が、開催概要を発表した。

 東京ビエンナーレは、「東京の地場に発する国際芸術祭」として、市民とともにアートを創造し、社会的実践の可能性を追求することを目的としている。東京という都市は、江戸時代から続く豊かな文化的背景を有し、世界有数の経済都市でもあり、多くの人々が集まる場所である。しかし、同時に大都市ならではの社会課題や、災害へのレジリエンスといった問題も抱えている。東京ビエンナーレは、このような複雑な都市のなかでアートがどのように社会に影響を与え、社会課題に立ち向かっていくのかを問うものでもある。

 今年の東京ビエンナーレは、10月17日から12月21日にかけて開催される予定であり、テーマは「いっしょに散歩しませんか?」となっている。総合プロデューサーを中村政⼈が務めており、共同ディレクターには並河進、⻄原珉、服部浩之、事業プロデューサーには中⻄忍を迎えている。

 共同ディレクターの3人は「いっしょに散歩しませんか?」というテーマについて、次のように語っている。「肩を並べて歩けば、たとえ無⾔でも、そこに、ゆるやかなつながりが⽣まれます。⽬的なくゆったり歩けば、視点が⾃由になり、気づかなかった景⾊が⾒えてきます」(プレスリリースより)。この芸術祭では、散歩の過程で⽣まれるアートを通じて、人々が出会い、共感し、社会に対する新たな視点を持つことを目指している。

 今年は、エトワール海渡リビング館の「馬喰町アートサイト」と、創建400年を迎える東叡山寛永寺本堂を中心とした「寛永寺アートサイト」の2つの拠点をメイン会場として、国内外のアーティストによる多彩な展示が行われる。

 また、東京都心北東部の6つのエリアでは、街を舞台にした展示やイベントが開催され、アートが日常に溶け込む様子を体験できるだろう。イベントプログラムは展示期間の約1ヶ月前からスタートし、参加アーティストは市民とともに街を歩きながらリサーチやワークショップを行い、その成果を展覧会に反映させる。

 さらに、4月からは、世界公募企画「SOCIAL DIVE 2025」が始まり、「いっしょに散歩しませんか?」をテーマにしたアートプロジェクトが海外のアーティストからも募集される予定だ。また、「散歩」をテーマにしたレクチャーシリーズ「さんぽ大学特別講義」や、地域住民、企業、アーティスト、専門家が一堂に会してアイデアを交換する「散歩アートマッププロジェクト」など、様々な角度からテーマを深掘りしていく活動も展開される。