木原健志郎「Wings」

　ARTDYNEで、木原健志郎による個展「Wings」が開催されている。

　本展では、木原が新たに展開する静物画シリーズ「リビング・フィギュア」を中心に「生」と「死」、「虚構」と「現実」が交錯するその独自の絵画世界を紹介。

　制作のためフィギュアをリペイントしていた木原が卓上のサボテンを見て「塗装されたサボテンは"生きたフィギュア"になりえるのか」という問いをきっかけに、「リビング・フィギュア」シリーズは誕生した。

　塗料をまとった植物や虫、肉片といったモチーフは、朽ちゆく運命にありながら、薄く重ねられた塗膜によってその形を保ち、「生」の痕跡をとどめる。ここで木原は、虚構（フィギュア）と現実（生命体）という二項のあわいにある「ズレ」を浮かび上がらせる。

　本展は、木原が一貫して取り組んできた「虚構と現実の関係性」、つくられたイメージや演出された存在を通じて、現実がいかに不確かで揺らぎを含んだものであるかを可視化する試みとなっている。