2025.4.16

西日本を舞台に、アートを通して地域の魅力を再発見

大阪・関西万博で盛り上がりを見せる西日本エリア。今年はこの地域で様々な芸術祭が開催される。これを機に、アートを巡る西日本の旅へ出かけてみては?

ヘザー・B・スワン+ノンダ・カサリディス 海を夢見る人々の場所 Photo by Keizo Kioku
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 ルクア大阪を運営するJR西日本SC開発株式会社が、新たに立ち上げたプロジェクト Nishi Nippon ARTrail。西日本の各地の芸術祭やデザインイベントを紹介し、旅行や日常のなかでアートを通して各地の魅力を再発見し、一人ひとりにあった豊かさを提供していくことを目的としている。

 大阪・関⻄万博が開催される2025年は、⻄日本の各地で多くの芸術祭やデザインイベントが開催される。そのなかでも、春に開催される「押さえるべきイベント」を一挙に紹介。アートを通して各地の魅力を再発見してみては?

瀬戸内国際芸術祭

 アートを道しるべに、島々を巡りながら瀬戸内の美しい景観や自然、島の文化や生活に出会う、現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が今年3会期にわたって開幕される。

 2010年の第1回から「海の復権」をテーマに掲げ、瀬戸内海が地球上のすべての地域の「希望の海」となることを目指す。6回目となる今回の参加作家は37の国と地域から218組。エリアも拡大し、新たに香川県沿岸部の志度・津田、引田、宇多津の3エリアが加わり、全17エリアに拡大。

 また、芸術祭がアジアの文化芸術の中核となり、世界と広く連携する取組みを進める。中心となる直島では、安藤忠雄氏設計で、アジアのアーティスト12組が参加する「直島新美術館」が5月31日に開館。芸術祭のマザーポート高松港では、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)との共催企画としてホンマタカシによる展覧会、ベトナムの多様な魅力を紹介する「ベトナムプロジェクト」など、多様な催しや地域の食などを通して世界から集う人々を歓待する。

 なお今回は広域連携事業として、「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトと称して芸術祭会期を中心に、香川、岡山、兵庫の8つの美術館が日本人アーティストの展覧会を開催。島々のみならず、周囲のエリアにも足を運んでほしい。

開催期間:春=2025年4月18日~5月25日(38日間)、夏=8月1日~31日(31日間)、秋=10月3日~11月9日(38日間)
会場:瀬戸内海の島々と沿岸部 全17エリア ※全会期=直島 豊島 女木島 男木島 小豆島 大島 犬島 高松港エリア 宇野港エリア、春会期=瀬戸大橋エリア、夏会期=志度・津田エリア 引田エリア、秋会期=本島 高見島 粟島 伊吹島 宇多津エリア
瀬戸内国際芸術祭 公式サイト: https://setouchi-artfest.jp/

直島新美術館
塩田千春「線の記憶」(作品イメージ)
Following the Line, 2022 Still Alive – Aichi Triennale 2022 Photo by Sunhi Mang ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota
伊吹島 栗林 隆「伊吹の樹」 Photo:Keizo Kioku Takashi Kuribayashi "Tree of Ibuki" Photo:Keizo Kioku

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

 世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭であり、インディペンデントのアートフェスティバルである「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が今年、13回目の開催を迎える。

 前回(2024年)は延べ約27万人の来場者を集め、ボランティアスタッフ約600名が参加したKYOTOGRAPHIEは、春の京都を彩るアートフェスティバルとして多くの方々に親しまれている。

 今年のテーマは「HUMANITY」。戦争、ジェンダー、アイデンティティ、感情、コミュニティ、つながり、自然、痛み、愛といった様々な視点から探求し、14の展覧会を京都市内各所で開催。会場となるのは京都文化博物館 別館、誉田屋源兵衛 竹院の間、京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)、両足院など、京都らしさを存分に味わえる空間ばかりとなっており、京都の街中を巡りながら展示を楽しめるのがKYOTOGRAPHIEの大きな特徴だ。

 なお今年は京都駅での写真壁画というユニークな企画もあり、京都の街がKYOTOGRAPHIE一色となるだろう。

会期:2025年4月12日〜5月11日(30日間)
会場:京都市内14会場 ※開館時間・休館日は会場により異なる
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 公式サイト: https://www.kyotographie.jp/

Study:大阪関西国際芸術祭

 「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」は、⼤阪・関⻄万博と⼤阪⼀帯をつなぐ役割を担う芸術祭として、夢洲の万博会場をはじめ、大阪文化館・天保山、黒川紀章氏設計の大阪府立国際会議場(中之島)、西成・船場エリア、70年万博開催の万博記念公園にある国立民族学博物館など、大阪を象徴する各地で展開。「ソーシャルインパクト」をテーマに20の国・地域から65組以上のアーティストが参加する。

 大阪・関西万博会場では、森万里子、金氏徹平、田﨑飛鳥(ヘラルボニー)ら13組がパブリック・アートを展開。大阪文化館・天保山では、ドイツの研究機関IKAと共に企画する「Reshaped Reality」展にマウリッツォ・カテランらが参加。西成では、釜ヶ崎芸術大学、プロダクション・ゾミアらが変容する街でのアートによる人々の出会いを探求する。

 またビジネス街かつカルチャーの拠点としても話題の船場では「Re: Human ─ 新しい人間の条件」をテーマに関西のアーティストが集結。さらに70年万博の開催地・万博記念公園内国立民族学博物館で、のんが作品を披露することにも注目だ。なお7⽉21⽇からは⽇韓合同国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」を開催。各会場を巡りながらアートを通して大阪の歴史と未来の可能性を体感できるだろう。

会期:2025年4月11日〜10月13日
会場:大阪市内各所
Study:大阪関西国際芸術祭 公式サイト: https://osaka-kansai.art/

© Tony Matelli Courtesy of the artist and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
釜ヶ崎芸術大学

Osaka Art & Design 2025

 大阪にあふれるクリエイティブな魅力を世界に向けて発信し、関西圏のアート&デザインシーンを活性化させることを目指す周遊型エリアイベント「Osaka Art & Design 2025(大阪アート&デザイン2025)」。

 3回目となる今年は、4週間にわたって大阪市内で開催される。会場となるエリアも、梅田・中之島から心斎橋・なんば、さらに今回は阿倍野まで拡大。大阪の主要エリアの約60ヶ所のギャラリーやショップ、商業施設などが舞台となり、気鋭のクリエイターによる多彩な作品が登場する。美術館を巡るようにアートや家具、ファッションなどを鑑賞し、本当に気に入ったものを購入できるチャンスがあるのも嬉しい。大阪で過去最大級のアート&デザインの祭典を、街を巡りながら楽しみたい。 

会期: 2025年5月28日~6月24日(4週間)
会場:梅田、堂島、中之島、京町堀、本町、心斎橋、なんば、阿倍野他大阪市内各地 
Osaka Art & Design 2025  公式サイト:https://www.osaka-artanddesign.com/

ヨアンナ・ハヴロット ハヴロット:ウェアラブルアート——見えざる糸
宮田彩加/廣田碧 ニュー博物誌~好奇心の遺伝子~