2025.10.30

「日本工芸週間2025」が11月4日より開催。素材と人の創造力に注目し、次世代へとつなぐ

日本の工芸文化の魅力と価値を国内外に発信する「日本工芸週間」。その第4回目が、北の丸公園・旧近衛師団司令部跡(旧・東京国立近代美術館工芸館)で開催される。会期は11月4日〜6日。

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 日本の工芸文化の魅力と価値を国内外に発信する「日本工芸週間(JAPAN CRAFT WEEK)」が、北の丸公園・旧近衛師団司令部跡(旧・東京国立近代美術館工芸館)で開催される。会期は11月4日〜6日。

北の丸公園・旧近衛師団司令部跡(旧・東京国立近代美術館工芸館)

 第4回目の開催となる今年のテーマは「工芸の素(もと)のもと」。日本の工芸を支えてきた木、紙、土、竹、漆などの自然素材は、数千年にわたる風土と人の営みが織りなした「知恵と技の結晶」と言える。本展では、自然素材をたんなる「材料」ではなく、次世代へつなぐべき文化的資産「Heritage Resource(ヘリテージ素材)」として再定義するという。

 3日間の会期中には、重要無形文化財保持者(人間国宝)をはじめとする工芸作家、地域に根ざした職人、次世代作家に加え、企業や教育機関など多様な領域の関係者が参画。風土・技・道具から素材をひも解き、工芸の現在地と課題、そして未来について展示、ワークショップとセッションで展開される。

泥藍​(琉球藍)の​生産 池原幹人
玉鋼 たなべたたらの里

 主な展示やプログラムを紹介したい。例えば、第一部「素材美の体感」では、和鉄、紙、絹など、特別な素材自体が持つ美しさと尊さを体感できる空間が登場。また、初源的な手の動作により、素材が変化し生み出された工芸作品を、道具とともに展示するという。

さざ波 土佐和紙
泥藍​(琉球藍)の​生産 池原幹人

 第二部「素材の伝統から未来を拓く『素材温故未来』」では、伝統素材を未来へどう活かすかという課題に着目する。桐、ハゼノキ、漆、紙ほか、新たな用途や視点をつくり手や科学者との対話により、“出会いと提案”を探る展示が行われるという。分野を越えて交わることで、素材を起点とした新たな価値が生まれる循環(エコシステム)を育み、これからの「使い手」「支え手」との新たな関係性を生み出すことを試みる。

叩く 玉川堂

 さらに、会期中には、座談会・講演・上映会・実演などといった五感で体感できる特別プログラムも予定されている。作家・職人による貴重な制作工程が見られる実演や、工芸の心地よさを実際に触れて感じることができるワークショップが開催されるため、参加の際は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。