EXHIBITIONS
セシリア・アンドリュース「Wondering and Looking」
Gallery 38で、セシリア・アンドリュースによる個展「Wondering and Looking」が開催されている。
ペインティング、彫刻、ドローイングなど、様々なメディウムを用いながら独自の色彩感覚で生み出されるアンドリュースの作品。その背景には、作家自身の生い立ちや、国家間の移動を伴いながら育まれた感性と世界観が影響しているという。
セシリア・アンドリュースは1969年チリ生まれ。軍事独裁政権がはびこる混乱に満ちた政治的・社会的状況のなか、自然に囲まれ、親密でリベラルなコミュニティのなかで育った時代を、アンドリュースは「美しい幼少期」と振り返っている。同時に、身の回りの平穏や美しさと、政治がもたらす残酷さや悲惨さという対極的なものが共存する矛盾が、アンドリュース独自の世界に対する視点をもたらした。
アンドリュースの作品には、手や頭部など人体の一部分が、様々なメディウムと色彩を用いて繰り返し描かれている。「Black Lives Matter」に見られる近年の人種的ムーブメントとの関連性も指摘されるが、それはアンドリュースが一貫して追求してきた「矛盾」を表現するためのモチーフとして機能する。
また、アンドリュースの作品には、点字用紙が素材として度々用いられる。本展では、新たにアルミに点字を印字したものを素材のひとつとして使用。一般には馴染みのないこのメディウムとの出会いは、以前友人からフランス版のナショナルジオグラフィックとされる雑誌『Geo』の点字版をもらったことに端を発する。本来であればグラビア誌を埋め尽くす写真の不在、そこに広がる無数の突起。それは「イメージ」についてアンドリュースに再考を促し、視力を持ちながらも、私たちは本当に周囲を「見て」いるのかという問いを立てる契機になったとのこと。
アンドリュースは、作品同士のスペースが生み出す新たな対話が、日本という異なる文化圏にいる観客にどのように作用し、そこから生まれる新しい調和とは何かを問いかける。
ペインティング、彫刻、ドローイングなど、様々なメディウムを用いながら独自の色彩感覚で生み出されるアンドリュースの作品。その背景には、作家自身の生い立ちや、国家間の移動を伴いながら育まれた感性と世界観が影響しているという。
セシリア・アンドリュースは1969年チリ生まれ。軍事独裁政権がはびこる混乱に満ちた政治的・社会的状況のなか、自然に囲まれ、親密でリベラルなコミュニティのなかで育った時代を、アンドリュースは「美しい幼少期」と振り返っている。同時に、身の回りの平穏や美しさと、政治がもたらす残酷さや悲惨さという対極的なものが共存する矛盾が、アンドリュース独自の世界に対する視点をもたらした。
アンドリュースの作品には、手や頭部など人体の一部分が、様々なメディウムと色彩を用いて繰り返し描かれている。「Black Lives Matter」に見られる近年の人種的ムーブメントとの関連性も指摘されるが、それはアンドリュースが一貫して追求してきた「矛盾」を表現するためのモチーフとして機能する。
また、アンドリュースの作品には、点字用紙が素材として度々用いられる。本展では、新たにアルミに点字を印字したものを素材のひとつとして使用。一般には馴染みのないこのメディウムとの出会いは、以前友人からフランス版のナショナルジオグラフィックとされる雑誌『Geo』の点字版をもらったことに端を発する。本来であればグラビア誌を埋め尽くす写真の不在、そこに広がる無数の突起。それは「イメージ」についてアンドリュースに再考を促し、視力を持ちながらも、私たちは本当に周囲を「見て」いるのかという問いを立てる契機になったとのこと。
アンドリュースは、作品同士のスペースが生み出す新たな対話が、日本という異なる文化圏にいる観客にどのように作用し、そこから生まれる新しい調和とは何かを問いかける。