EXHIBITIONS

松本市美術館所蔵

草間彌生 版画の世界―反復と増殖―

2025.04.25 - 09.07

草間彌生 南瓜 1982年 ©YAYOI KUSAMA【前期展示】

 京都市京セラ美術館「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」

 草間彌生は1929年長野県松本市生まれ。幼少期より水玉や網目を描く。57年に渡米、ニューヨークを拠点にネット・ペインティング、ソフト・スカルプチャー、鏡や電飾をもちいた革新的なインスタレーション作品を発表。さらにボディ・ペインティング、ハプニング、ファッション・ショー、映画など多様な表現を欧米で展開する。

 73年に帰国、活動拠点を東京に移し、美術制作に加え、詩や小説の文筆活動も行う。野外彫刻や企業とのコラボレーション、ドキュメンタリー映像などを通じて幅広い世代に知られるようになる。世界各地の美術館で大規模な展覧会が開催され、2016年文化勲章受章。現在も精力的に制作を続ける。

 草間は79年に版画作品を初めて発表。そこには米国から帰国後の死や苦悩をテーマにした作品とは対照的に、華やかなモチーフが色彩豊かに表現されている。それまでの抽象的な表現に加え、南瓜、ドレス、葡萄、花や蝶など日常的なモチーフが網目や水玉で構成されている。近年は、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作や、モノクロームの大型シルクスクリーン作品「愛はとこしえ」シリーズなど、特徴的な作品を発表している。

 本展では、世界最大級の草間コレクションを誇る草間彌生の故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する版画作品に作家蔵の作品を加えた約330点で草間の版画芸術の魅力と軌跡を展観する。