EXHIBITIONS

京都dddギャラリー第246回企画展

書藝問道 ブックデザイナー 呂敬人の軌跡

京都dddギャラリー
2025.04.10 - 06.04

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 京都dddギャラリーで「書藝問道 ブックデザイナー 呂敬人の軌跡」が開催されている。

 呂敬人(リュ・ジンレン)は1947年上海生まれ。1968年からの10年間は文化大革命による農村下放プログラムによって、労働に従事。1978年に中国青年出版社に入社。1989年、93年の2度にわたり来日、杉浦康平に師事。1998年に敬人設計工作室を設立。2002年より清華大学美術学院視覚伝達デザイン学科で教鞭を執り、2013年「敬人紙語」ブックデザイン研究クラスを設立。現在は上海美術学院の客員教授、『ブックデザイン』叢書編集長を務める。

 デザイン作品は、全国書籍装幀芸術展金賞、中国出版政府賞、「中国で最も美しい本」賞、ドイツ・ライプツィヒの「世界で最も美しい本」賞など受賞多数。ドイツのオッフェンバッハ、韓国の坡州、米国のサンフランシスコ、中国の北京、上海、深圳などで個展を開催。編著には『敬人書籍設計』『法古創新・敬人人敬』『書籍設計基礎』『書芸問道』『敬人書語』『美書・留住閲読』。訳書に『菊地信義の装幀芸術』『旋-杉浦康平のデザイン世界』など。国際グラフィック連盟(AGI)のメンバー。

 本展は、現代中国の多様な造本文化の礎ともなった呂敬人の書藝を、日本で初めて大々的に紹介したギンザ・グラフィック・ギャラリー第406回企画展の巡回展だ。

 中国の豊かな出版文化の歴史を再発見し、新たなブックデザインの道を切り開いたパイオニア、呂敬人が1989年に初来日し、杉浦康平との出会いを果たした当時、中国ではブックデザイナーという独立した職種がまだ確立されていなかった。そのような時代に、杉浦デザイン事務所での学びを通して、本の内容から全体を構築していく「ブックデザイン(書籍設計)」に開眼した呂敬人は、自国の豊かな伝統文化を研究しながら独自の方法論を確立していった。

 今回の展示では、宋代の拓本を原寸大復刻した『朱熹榜書千字文』をはじめ、全長10メートルの巻物10巻を納めた『絵図五百羅漢詳解』、解説を読みながら実際に囲碁が打てる『忘憂清楽集』など、豪華本をダイナミックに展開。お茶や扇子のほか、中国の豊かな芸術文化、生活にまつわる多彩な書物を、呂による解説とともに紹介。また、手にとって楽しめる作品集や自著なども展示。中国芸術の核心に迫る精緻なブックデザインの世界を見る。