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2025.12.19

江戸東京博物館が約4年の改修を終えリニューアルオープンへ。開館100日前記念イベントが開催

令和4年度から約4年間、大規模改修工事のため休館していた、東京・両国にある東京都江戸東京博物館が、2026 (令和8)年3月31日にリニューアルオープンを迎える。

文・撮影=大橋ひな子(ウェブ版「美術手帖」編集部)

会場風景より、原寸大で再現される服部時計店
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 東京・両国に1993年に設立された、東京都江戸東京博物館。設備をはじめ施設全体の経年劣化が進んでいたことから、令和4年度から約4年の間、大規模改修工事を行っていた。そんな同館は無事改修工事を終え、2026 (令和8)年3月31日にリニューアルオープンを迎える。

 今回、リニューアルオープンの空間デザインを監修したのは、世界的な建築家である重松象平。重松は、2008年よりOMAのパートナーを務めており、2022〜23年に開催された「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」(東京都現代美術館)や今年開催されたルイ・ヴィトン「ビジョナリー・ジャーニー」展(大阪中之島美術館)でも空間デザインを手がけている。

 リニューアルにあたっての注目ポイントはいくつかあるが、まずは外観に着目したい。建築家・菊竹清訓が設計を手がけた同館は、その巨大なピロティや宙に浮いて見えるようなデザインが特徴的であるが、今回はその建築を生かすかたちでリニューアルがなされている。

 大きな階段を上った先にある3階ひろばと呼ばれる空間は、約4000平方メートルの天井面と柱面に、収蔵品資料や東京の街の様子等をプロジェクションマッピングで投影するデザインとなる。館内の収蔵品が外に滲み出すようなイメージでつくられた。投射機部分はベンチになる予定で、人々が映像を見上げながらくつろげる空間となる。

3階ひろばに投影されるプロジェクションマッピングのイメージ

 JR両国駅からのアプローチ部分には、新たに「鳥居」を想起させるモニュメントが設置される。もとからある大階段に負けないインパクトを持たせ、入り口をわかりやすくする工夫がなされている。内側にはLEDパネルが付けられており、人々が館内に入っていく映像などが投影される予定だ(閉館間際の時間には、館外へ向かって歩く人の姿が映される予定)。都営大江戸線の両国駅側には、同館のロゴマークをあしらったオブジェが設置される。

JR両国駅からのアプローチ部分に設置された「鳥居」を想起させるモニュメント

 同館は6階部分が常設展示室となっているが、ここにも注目すべきリニューアルポイントがいくつかある。今回、常設展示室にこれまであった朝野新聞社を建て替え、史実に基づくかたちで、明治の銀座の象徴ともいえる服部時計店が原寸大で再現される。この服部時計店に入ると、明治以降の東京の様子を模した東京ゾーンへと繋がる構成だ。また本展示室内に新たに空の映像が投影され、人々が時間の変化を感じられるようなイマーシブな体験を生み出す。

会場風景より、原寸大で再現される服部時計店
会場風景より、空の映像(一部)

 改修前からあった芝居小屋「中村座」は、来館者による「芝居小屋の中に入りたい」という声に応え、新たに内部へ入れる体験展示に生まれ変わる。また自動車初の重要文化財である、東京市初の公営乗合自動車「円太郎バス」も、新たに常設展示に加わる。現存する最古の車輌であり、唯一の円太郎バス伝存車輌でもある貴重な資料だ。また江戸ゾーンには、資料をもとに江戸の様子を忠実に再現した街並みが広がる予定である。

会場風景より、芝居小屋「中村座」

 同館内の小ホール横の壁にも注目したい。この壁は、東京都優秀技能者(東京マイスター)でもある左官職人の久住有生による左官仕上げが施されている。左官仕上げは、江戸時代の三大花形職業とも言われた伝統的な技術である。江戸・東京の歴史と文化を伝える同館のエントランスに合わせた、伝統とモダンが融合した空間をつくりあげる。

館内の様子より、東京マイスター・久住有生による左官仕上げが施された壁

 また館内レストランもリニューアルされ、江戸前の料理を和モダンな空間で堪能することができるようになる。食文化もあわせて楽しめるような体験設計だ。

 同館のリニューアル後は、2026年の間に4本の特別展が企画されている。1つ目の企画となる、同館のコレクションを一挙に展示する「大江戸礼賛」は、4月25日〜5月24日の期間で開催される。新しくなった同館内で、約35万点の収蔵品のなかから選ばれた珠玉の作品を堪能できる貴重な機会となる。

 なおリニューアルオープンの100日前を記念して、「幻のホーム」とも言われるJR両国駅3番線ホームで「江戸東京博物館 リニューアルオープン 100日前記念イベント」が、4日間限定で開催されている(12月18日~21日)。本イベントは、同館の魅力を一足先に伝えるべく、大人から子供までが見て、触れて、食べて楽しめる、参加費無料の期間限定イベントとなっている。こちらも合わせて注目してほしい。

「江戸東京博物館 リニューアルオープン 100日前記念イベント」の様子
「江戸東京博物館 リニューアルオープン 100日前記念イベント」の様子