「山本理顕展―コミュニティーと建築―」で迫る、プリツカー賞受賞建築家の思想
横須賀美術館で、同館を設計した建築家・山本理顕の過去最大規模となる個展「山本理顕展―コミュニティーと建築― 」が開幕した。

「こういう展覧会をやりたいと思っていた 」──2024年に「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞した建築家・山本理顕。その過去最大規模の個展「山本理顕展―コミュニティーと建築― 」が、横須賀美術館で開幕した。

山本は1945年中華人民共和国・北京生まれ。第二次世界大戦後に横浜へと移住した。68年に日本大学理工学部建築学科卒業し、71年には東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。73年に山本理顕建築設計事務所を設立。代表作には、本展会場である横須賀美術館のほか、公立はこだて未来大学、横浜市立子安小学校、チューリヒ空港の複合商業施設「THE CIRCLE」や韓国の集合住宅などがある。
山本は、建築におけるパブリックとプライベートの境界を「閾(しきい)」と呼び、地域社会とのつながりを生む空間として重要視している。こうした思想を体現した建築は、そこに住む人々だけでなく、周辺のコミュニティー全体を豊かにできるものとして世界的な評価を受けている。その結実のひとつが、24年のプリツカー賞受賞、文化庁長官表彰(国際芸術部門)だと言えるだろう。
