2025.6.27

ダンスカンパニー「DAZZLE」による新作常設イマーシブエクスペリエンス「Anemoia Tokyo」。アートとダンスの化学反応による新感覚の体験を

ダンスカンパニー「DAZZLE」による、日本初のノンバーバル常設イマーシブエクスペリエンス「Anemoia Tokyo(アネモイア トウキョウ)」。舞台美術にアート作品を用いる試みによって、アート作品とダンスの化学反応から起きる新感覚の体験を味わうことができる。

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 「DAZZLE」は日本におけるイマーシブシアターの先駆者的存在として、2017年から毎年国内各所で様々な規模の公演を行なっている。

 「イマーシブシアター」とは、「観客が座り、舞台上の演者を鑑賞する」という従来の演劇の考え方を一新し、「観客が実際に物語の中に入り込む体験型の演劇」としてロンドンやニューヨークから始まったもの。DAZZLEは、そんなイマーシブシアターの日本初の常設型シアターを2021年6月にオープンし、10ヶ月間(全877公演)毎日公演を行ったことでも注目を集めた。そのほかにも河川を利用した船上でのクルージングイマーシブシアターを制作するなど、あらゆる形での上演に挑戦し続けている。

 今回、常設型の4作目となる「Anemoia Tokyo」では、初めての試みとして、クリエイティブスタジオ Whatever Co. のプロデュースのもと、主にメディアアートの分野で活動する複数のアーティストとコラボレーションを行っている。

 参加作家は、exonemo、後藤 映則、尾潟 糧天、國本 怜、ryo kishi、KAITO SAKUMA、creative label nor、礫 –TSUBUTE–、ゆきあかりの全9組。

左から、Whatever板垣、 福地、DAZZLE 長谷川、飯塚
参加作家作品
exonemo Bode Paint[DAZZLE edition] 2024

 本作では海外の方にも観てもらえるよう「ノンバーバル」での公演に挑戦しており、パフォーマンスを見ていない時間や空間にも面白さを感じてもらうにはどうしたらよいかを考えた結果、舞台美術にアート作品を用いるというアイディアが出てきたという。物語を説明するための機能的な役割のみを求めるのではなく、観る人の時間の楽しみ方や視点を増やすことを意図され実現した。

 作品が持つ本来の魅力はそのままに、公演の美術としても機能しながら、同時にアートとしての解釈の幅をも広げ、意味を多層化させることがコラボレーションの背景にある。

 またアート作品とパフォーマンスという同時に起こる2つの鑑賞体験を楽しむために、空間を説明するハンドアウトがふたつ用意される。ひとつはアート作品を鑑賞するための、作品のタイトルや作家のコンセプトなどが記載されたもの。もう一つは、イマーシブシアターの公演を観る際のストーリーやキャラクターの説明などが記載されたガイド。この2枚を見比べながら、同じ空間を異なる視点で解釈することができるのもポイントとなる。

 また6月24日から一部展示替えが行われ、古澤龍などの作家も参加予定。アートとダンスが相互に影響を与えあうことで、パフォーマンスが日々変化し、「何度見ても新しい」というイマーシブシアターの元来ある価値がさらに別次元で展開され、日常から一瞬でも離れられる特別な体験や、見たことのない景色を目の当たりにする刺激を空間内で存分に楽しむことができるだろう。なおDAZZLE×Whateverによるインタビューも公開されている。あわせてチェックしてみてほしい。