2025.4.25

今週末に見たい展覧会ベスト15。東博の「蔦屋重三郎展」から「Hibiya Art Park 2025」、大阪の「日本国宝展」まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「Hibiya Art Park 2025」より、久保寛子《やさしい手》 撮影=編集部
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もうすぐ閉幕

古道具坂田のコレクション展「Our Eyes」(フィリップス 東京オフィスギャラリー)

 フィリップス 東京オフィスギャラリーで、古道具坂田のコレクション展「Our Eyes」が4月25日まで開催されている。本展のキュレーションは現代美術家の青柳龍太が担当した。

 古道具坂田の店主であった坂田和實(1945〜2022)は、日常生活に使われた身の回りの工芸品から美を見出す古美術商であった。本展では、坂田によって選ばれた品々を「見る」ことを促すとともに、物の価値はひとりの人間によって決まるわけではなく、美に共感し、それを買いコレクションしたコレクターとの共作であるとしている。

会期:2025年4月4日〜25日
会場:フィリップス 東京オフィスギャラリー
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル4階
開館時間:11:00〜18:00 
休館日:土日祝 
料金:無料

長島有里枝「ガレージセール」(MAHO KUBOTA GALLERY

©︎Yurie Nagashima

 MAHO KUBOTA GALLERYで開催中の長島有里枝による個展「ガレージセール」が4月26日に閉幕する。

 本展では、愛猫・愛犬をとらえた新作のモノクロプリントや彫刻をはじめ、日常生活や家事の場面を切り取った「家庭について/about home」のシリーズやアメリカの各地でカメラにおさめた植物のシリーズ「wild flowers」など、これまで同ギャラリーで発表してきた作品にドローイングを加えて展示している。

会期:2025年3月21日~4月26日
会場:MAHO KUBOTA GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-7
電話番号:03-6434-7716 
開館時間:12:00〜19:00 
休館日:日月祝
料金:無料

足立智美「古い未来の楽器と新しい昔の楽器(と文字)((人工知能による))」(MISA SHIN GALLERY

 MISA SHIN GALLERYで、足立智美による個展「古い未来の楽器と新しい昔の楽器(と文字)((人工知能による))」が4月26日まで開催されている。

 本展において足立は、生成AI(人工知能)がデザインした楽器を彫刻家・大村大悟と協働で制作し、それらを実際に演奏する映像を加えたインスタレーションを発表。生成AIの知性を尊重した共同制作として、人間の限界を超えた音楽表現や身体性を新たに開拓しようとする試みとなっている。

会期:2025年3月29日〜4月26日
会場:MISA SHIN GALLERY
住所:東京都港区南麻布3-9-11 パインコーストハイツ1階
電話番号:03-6450-2334 
開館時間:12:00〜19:00 
休館日:土日祝
料金:無料

今週開幕

特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(東京国立博物館 平成館)

展示風景より 撮影=編集部

 江戸時代の傑出した出版業者として知られる「蔦重」こと蔦屋重三郎(1750〜97)。その蔦重を主人公にした大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)と連携した特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が、東京国立博物館で開幕した。レポートはこちら

 本展は、江戸の街の様相とともに蔦重の出版活動を紹介し、その特異性を提示しようとするものだ。会場は「吉原細見・洒落本・黄表紙の革新」「狂歌隆盛──蔦唐丸、文化人たちとの交流」「浮世絵師発掘──歌麿、写楽、栄松斎長喜」の3章と附章「天明寛政、江戸の街」で構成されている。

会期:2025年4月22日~6月15日
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00(金土、5月4日、5日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、4月28日、5月5日は開館)、5月7日
料金:一般 2100円 / 大学生 1300円 / 高校生 900円 / 中学生以下無料

「浮世絵現代」(東京国立博物館 表慶館)

展示風景より、草間彌生の版画作品と版木

 同じく東京国立博物館の表慶館で始まった「浮世絵現代」では、伝統木版画の表現に魅了された様々なジャンルのアーティスト、デザイナー、クリエーターたちが現代の絵師となり、アダチ版画研究所の彫師・摺師たちと協働して制作した「現代」の「浮世絵」を紹介している。

 参加作家は総勢約80名。展示は「漫画往還」「北斎讃歌」「模索と実験」「現代の絵師たち」「継承と発展」で構成されている。会場レポートはこちら

会期:2025年4月22日~6月15日
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00(金土、5月4日、5日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで休館日:月(ただし、4月28日、5月5日は開館)、5月7日
料金:一般 1400円 / 大学生 700円 / 70歳以上 400円 ※特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」または「イマーシブシアター 新ジャポニズム」の観覧券で観覧当日に限り無料

横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅(グッチ銀座 ギャラリー)

展示風景より

 グッチがグッチ銀座 ギャラリーを舞台に、横尾忠則の個展「横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅」をスタートさせた。グッチと横尾のつながりは、2020年にグッチ渋谷 ミヤシタパークのオープニングを飾ったウィンドウ アートプロジェクトまで遡る。本展はそのコラボレーションをさらに発展させたものだ。

 横尾は約60年にわたり、ひとつの完成形にはとどまることなく、つねに変貌と挑戦を繰り返してきた。本展のテーマである「未完」は、芸術の創造性は完成された瞬間よりも、むしろ未完成であることにこそ宿るという、横尾の美学に基づくものだ。

 本展のキュレーションは美術評論家・南雄介。「Y字路」シリーズを含む、「旅」を想起させるテーマを描いた作品を中心に約30点が並ぶ。レポートはこちら

会期:2025年4月23日〜8月24日(予定)
会場:グッチ銀座 ギャラリー
住所:東京都中央区銀座4-4-10 グッチ銀座 7階
開館時間:11:00〜20:00 ※最終入場は19:30
休館日:会期中無休
料金:無料(予約優先) ※屋上スペースの展示は天候・時間によって観覧不可の場合あり
来場予約 : https://line.me/R/app/1601842270-wAXNyj2g

Hibiya Art Park 2025(日比谷公園内)

「Hibiya Art Park 2025」より、久保寛子《やさしい手》 撮影=編集部

 2022年に開園120年を迎えた、日本初の洋風公園である日比谷公園。ここで東京都主催のアートイベント「Hibiya Art Park 2025 -訪れるたび、アートと出会う1ヶ月‐」がスタートした。

 昨年より開催されてきた同イベントは、今回アートインスタレーションの内容や期間をさらに拡大。パブリックアートを中心とした第1期「Transformed Composition -組み合わせと見立てで遊ぶ-」(4月25日〜5月11日)と、パフォーミングアーツに焦点を当てた第2期「“Play”ing Catch -集まり方の練習- 」(5月17日〜25日)といった2つの会期で実施される予定となっている。第1期のレポートはこちら

Hibiya Art Park 2025
会期:2025年4月25日〜5月25日
会場:日比谷公園
住所:東京都千代田区日比谷公園1-6

第1期「Transformed Composition 組み合わせと見立てで遊ぶ」
会期:2025年4月25日〜5月11日

第2期「“Play”ing Catch -集まり方の練習- 」
会期:2025年5月17日〜25日

リニューアル記念名品展Ⅰ「帰ってきた泉屋博古館 いにしえの至宝たち」(泉屋博古館

展示室1

 京都・鹿ヶ谷の泉屋博古館が、約1年間の改修工事を経て、4月26日にリニューアルオープンする。会場レポートはこちら

 今回のリニューアルにおける最大のトピックは「青銅器館」だ。改修では、竣工当時の意匠を生かすかたちでのリニューアルが行われ、「中国青銅器の時代」(4月26日〜8月17日)がこけら落としとして開催される。

 また、企画展示室でもリニューアル記念展「帰ってきた泉屋博古館 いにしえの至宝たち」(4月26日〜6月8日)が開催されている。これは同館コレクションのなかから、絵画、書跡、茶道具、仏教美術など、広範にわたるジャンルをセレクトして展示するものだ。

中国青銅器の時代
会期:2025年4月26日〜8月17日
会場:泉屋博古館
住所:京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
電話番号:075-771-6411 
開館時間:10:00〜17:00 
休館日:月(5月5日、7月21日、8月11日は開館)、5月7日、7月22日、8月12日
料金:一般 1000円、学生 600円

帰ってきた泉屋博古館 いにしえの至宝たち
会期:2025年4月26日〜6月8日
※会場、開館時間、休館日、料金などは上記「中国青銅器の時代」に準ずる

「宇宙からの音響」(草間彌生美術館

展示風景より、《オブリタレーション・ルーム》(02-現在)

 東京・弁天町の草間彌生美術館で、草間彌生(1929〜)の芸術の根源ともいえる「病」に着目した展覧会「宇宙からの音響」が4月24日よりスタートした。レポートはこちら

 本展では、草間の初期から現在に至るまでの多様な作品群および関連資料を展示。「病」をキーワードに5つのフロアで展開された作品群からは、草間の豊饒な創造力の根源を見ることができる。

会期:2025年4月24日~8月31日
会場:草間彌生美術館
住所:東京都新宿区弁天町107
開館時間:11:00~17:30 ※日時指定の予約・定員制(各回90分)。毎月1日10:00(日本時間)に美術館ウェブサイトにて翌々月分のチケット発売開始。美術館窓口での取り扱いなし。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売
休館日:月、火、水(祝日の場合は開館)※展示替え期間や館内メンテナンス期間、年末年始などは休館。詳細は美術館ウェブサイトまで
料金:一般 1100円 / 小中高生 600円 / 未就学児無料

「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界─反復と増殖─」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)

 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブでも、草間彌生による初の大規模版画展「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界─反復と増殖─」がスタートした。会期は9月7日まで。

 本展は、世界最大級の草間コレクションを誇る、故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する版画作品に、作家蔵の作品を加えた約330点で草間の版画芸術の魅力にせまるものだ。

会期:前期 2025年4月25日~6月29日 / 後期 7月1日〜9月7日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は17:30まで
休館日:月(祝日・休日の場合は開館) 
料金:一般 2200円 / 大学・高校生 1400円 / 中・小学生 600円

大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念 特別展「日本国宝展」(大阪市立美術館

 大阪市立美術館で、大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展「日本国宝展」が開催される。会期は4月26日〜6月15日。

 本展は、2025年の大阪万博の開催と、大阪市立美術館のリニューアルオープンを記念して開催されるもの。国宝を通して、日本文化への理解を深める契機となることを目指し、約130件の国宝が一堂に集まる貴重な機会となる。

会期:2025年4月26日〜6月15日
会場:大阪市立美術館
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82
電話番号:06-8771-4874
開館時間:9:00〜17:30
休館日:月(4月28日、5月5日は開館)
料金:一般 2400円 / 高大生 1700円 / 小中生 500円

「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」(下瀬美術館

 下瀬美術館で「周辺・開発・状況 — 現代美術の事情と地勢 —」が開催される。会期は4月26日~7月21日。

 本展は2024年に下瀬美術館が「ベルサイユ賞」(ユネスコ本部創設の建築賞)を受賞した記念として行われる特別企画展で、下瀬美術館にとって初の現代美術展となる。チーフキュレーターに美術家の齋藤恵汰を迎え、コキュレーターとして松⼭孝法、李静文、根上陽子が参加する。

 本展覧会のチーフキュレーターである齋藤は、このミラーガラス・スクリーンによる美術館と周辺環境の一体化から思考を開始。また造船開発の技術を使った可動展示室、美術館の向かいに日本屈指の観光地である宮島を擁する立地状況を踏まえ、それらに応答していく展示として構成した。「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」というタイトルは、「environment」以外にも多元的な意味がある日本語の「環境」という単語からインスピレーションを受けており、今回展開されるキュレーションを表現するものだ。

会期:2025年4月26日~7月21日
会場:下瀬美術館
住所:広島県大竹市晴海2-10-50
電話番号:0827-94-4000
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、祝日の場合は開館)
料金:一般 2000円 / 高校生・大学生 1000円 / 中学生以下 無料

企画展「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」(川崎市岡本太郎美術館

 神奈川・川崎にある川崎市岡本太郎美術館で、企画展「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」が開催される。会期は4月26日〜7月6日。

 1970年の大阪では、「人類の進歩と調和」をテーマとする日本万国博覧会が開催。岡本太郎が会場の中心に据えた「太陽の塔」は、建設当時、モダニズムと相容れない独特の外観で賛否を巻き起こした。また、内側の構成も「人類の進歩と調和」に異議を唱える岡本の思想が大いに反映されてつくられたものであった。

 本展は、民族学を源泉とし、国内の取材旅行を通して形成された岡本の思想から「太陽の塔」の在り方を探る「入門編」となる展覧会だ。会場では、岡本が縄文の発見後、フィールドワークで撮影した写真を紹介するほか、「太陽の塔」の制作記録や同時期の作品を通して塔の内外が形づくられた過程をたどる。また、国内外の仮面や神像等を展示し、岡本が言う「今日の文明が失ってしまった人間の原点」にせまるものとなる。

会期:2025年4月26日〜7月6日
会場:川崎市岡本太郎美術館
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
電話番号:044-900-9898 
開館時間:9:30〜17:00 ※最終入館は16:30まで
休館日:月(ただし、4月28日、5月5日は開館)、5月7日、5月8日 
料金:一般 900円 / 高大生・65歳以上 700円

「横尾忠則 連画の河」(世田谷美術館

横尾忠則 ボッスの壺 2024 作家蔵

 多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続けるアーティスト・横尾忠則。その個展「横尾忠則 連画の河」が世田谷美術館で開催される。会期は4月26日〜6月22日。

 本展の起点となったのは、1970年に横尾が故郷の西脇で同級生たちとともに収まる篠山紀信が撮影した写真だという。その写真は22年を経て、写真集『横尾忠則 記憶の遠近術』に収録され、序文は1970年に自決した三島由紀夫が遺していた横尾論が飾った。この写真にインスピレーションを得て、横尾は1994年に《記憶の鎮魂歌》(横尾忠則現代美術館蔵)という大作を描いており、本展はこの作品から始まるものとなる。

会期:2025年4月26日〜6月22日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで
休館日:月(ただし、4月28日、5月5日は開館)、5月7日
料金:一般 1400円 / 65歳以上 1200円 / 大学・高校生 800円 / 小・中学生 500 / 未就学児無料

「ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展」(森アーツセンターギャラリー

 東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで、「ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展」が開催される。会期は4月26日~6月29日。

 本展は、ゴジラの生誕70周年を記念するもので、誕生から現在に至るまで数々の映像作品として描かれてきたゴジラの様相を、国内外のアーティストたちが表現。「ゴジラとは、何か」という問いに対し、各々の答えをアート作品に落とし込み展示するという。

 参加アーティストは、福田美蘭、O JUN、風間サチコ、東京ビルド(TokyoBuild)、小谷元彦、青柳菜摘、佐藤朋子ほか。ゼネラルプロデューサーは養老孟司、キュレーターは金秋雨となる。

会期:2025年4月26日~6月29日
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階 
開館時間:10:00~19:00(4月26日〜5月6日、金土は〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金:[平日]一般 大学・専門学生 2200円 / 高校・中学生 1500円 / 4歳~小学生 500円[土日祝]一般 大学・専門学生 2500円 / 高校・中学生 1600円 / 4歳~小学生 600円