EXHIBITIONS

西雄大「ブラー」

2025.04.18 - 05.18

©Yudai Nishi / courtesy of VOILLD

 VOILLDで、西雄大による個展「ブラー」が開催されている。

 西雄大は1991年愛知県生まれ。2014年に京都精華大学デザイン学部ビジュアルデザイン学科イラストコースを卒業。在学中に活動を開始。作品制作を中心に、国内外での個展の開催やグループ展への参加をする傍ら、企業や広告への作品提供を始め、イラストレーションや自身のアートワークを使用したプロダクトの制作を行うなど、活躍の場は多岐にわたる。

 西の作品は、柔らかに構成されたフォルムと選び抜かれた配色、既視感のあるモチーフが変容し、独自の形体になったものによって構成。それらは西のルーツともなる80年代のアメリカンコミックやヒーロー、ストリートアートなどの影響を受けながら、イラストレーションやデザイン、建築など、作家の多方面にわたる興味や経験から生み出されている。コミカルでシンプルに見える作品群は緻密な構図と筆使いで描かれており、現代においての物質に対する価値観や、複雑に入り組んだコミュニケーションのかたち、多様化する個性の在り方への皮肉などが隠されているという。

 本展では、これまで西の作品を象徴してきた力強いアウトラインをあえて描かず、輪郭をぼかすことで新たな視覚的アプローチに挑んだシリーズが並ぶ。自身の制作スタイルを見直し、あえて線を引かないという選択をしたことで、画面の構造はより明晰に、作品の輪郭はより鮮明に、立体的に浮かび上がるという新たな感覚に至ったと西は語っている。

 今回の展示では、新作の平面作品約20点を発表している。