EXHIBITIONS

林田真季「Silent Echoes of the Cedar」

2025.04.12 - 05.11

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 hakari contemporaryで、林田真季による個展「Silent Echoes of the Cedar」が開催されている。

 林田真季は1984年大阪府生まれ。東京を拠点に活動。2023年にロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション MA Photographyを修了。写真というメディアとその様々な形態に興味を持ち、デジタルとアナログ両方のプロセスを試しながら、社会を反映する現代アートとしての写真に挑戦している。また、写真と環境の相反する関係を落とし込むことによって、デジタル時代における写真メディアの物質性と複製性を問いかける。

 林田はこれまで、様々な社会的課題をリサーチし、主に写真を媒体とした独自のインスタレーションを展開してきた。本展では、広く「森林問題」としてグローバルに扱われる環境課題に焦点をあて、その本質が国や地域によって異なるという視点を、新作の写真インスタレーションを通して提起する。

 新作インスタレーションでは、グローバルな森林問題とは方向性の異なる、利用されない人工林における生物多様性の喪失を背景に、日本でもっとも多く植林されているスギに焦点をあてる。スギから抽出した現像液で現像・プリントを行うという技法を取り入れながら、林田は活用されない人工林の現状に対し、写真作家の視点から向きあうことに挑戦する。

 本展は、人による自然への介入とその意図せざる結果、そして本質的に多義性を内包する社会問題を一様に扱うことの危険性を示唆。環境課題をはじめ、倫理や道徳的価値観までもがグローバリゼーションされる現代を生きる私たちが、目の前の事実を改めてローカライズし、再考する機会となる。