「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」(ワタリウム美術館)開幕レポート
ワタリウム美術館で、ポーランドを拠点に活動を続ける美術家・鴨治晃次による日本初の展覧会「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」がスタートした。会期は6月22日まで。

東京・外苑前のワタリウム美術館で、ポーランドを拠点に活動を続ける美術家・鴨治晃次による日本初の展覧会「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」がスタートした。会期は6月22日まで。担当キュレーターはマリア・ブレヴィンスカ(ザヘンタ国立美術館 学芸員)。
鴨治は1935年東京生まれ。1953年から58年にかけて武蔵野美術大学で麻生三郎、山口長男に師事した。伯父の梅田良忠(東欧史学者、ポーランド文学翻訳家、ワルシャワ大学日本語講師)に影響を受け、ワルシャワへ留学。59年にはポーランドへの船旅に出かけ、2ヶ月半の航海で感じた空間、水、空気の感覚はその後の鴨治の作品に大きな影響を与えた。60年にワルシャワ美術アカデミー入学すると、画家アルトゥール・ナハト=サンボルスキーのもとで学び始め、66年に修了。65年、クラクフのクシシュトフォリー・ギャラリーでレシェック・ヴァリツキとともに初めての展覧会を開催し、アカデミー卒業後の67年にはフォクサル・ギャラリーで活動を始めた。その活動はポーランドの現代美術の発展史において重要な役割を果たしており、現在もポーランドを拠点に活動を続けている。
本展は、3月31日に90歳を迎えた鴨治晃次による66年ぶりとなる帰国展でもあり、ポーランドのザヘンタ国立美術館とアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート(IAM)によって企画されるもの。キュレーションを担当した同美術館のブレヴィンスカは、開催経緯について次のように述べた。「本展は、ポーランドの日本人アーティストのなかでもっとも重要な人物の展覧会だ。2018年にザヘンタ国立美術館で鴨治の展覧会を担当した際に、母国の日本でその活動があまり知られていないことを知り、試行錯誤を行った結果、本展を開催するに至った」。
