2025.4.14

アイルランドを代表するアーティスト。ジョセフ・ウォルシュの作品展示が大阪と東京の3会場で開催へ

東京・西麻布のギャラリー、ア・ライトハウス・カナタが所属アーティストのジョセフ・ウォルシュによる新作を大阪と東京の3会場で展示する。

大阪・関西万博アイルランドパビリオンとジョセフ・ウォルシュによる屋外彫刻《Magnus Rinn》
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 ミニマルな抽象表現をテーマに、マテリアリティと卓越した技術に重点を置いたギャラリー、ア・ライトハウス・カナタが、所属アーティストであるジョセフ・ウォルシュの新作を大阪と東京の3会場で展示する。

 国内外の約30名以上のアーティストが所属しているア・ライトハウス・カナタ。近年はより国際色豊かなギャラリーへと成長し、今年秋には東京・表参道に拠点を移転する予定で、今後さらに日本美術の未来への架け橋となることを目指している。

 アイルランド出身のウォルシュは、木材の自然美を生かした彫刻で世界的に評価されており、彫刻と家具の境界を行き来する独自の作品を生み出している。その作品は、素材に対する直感的な理解と革新的な技術、表現豊かなフォルムを特徴としており、これまでに世界中で数多くの重要な委託作品を手がけてきた。アイルランド国立美術館やパリのポンピドゥー・センター、アメリカのメトロポリタン美術館にも作品が収蔵されており、アイルランドを代表するアーティストのひとりとなっている。

ジョセフ・ウォルシュと《Magnus Rinn》。大阪・関西万博アイルランドパビリオンにて

 「大阪・関西万博アイルランドパビリオン」(4月13日〜10月13日)でアンバサダーとして抜擢されたウォルシュは、「創造性と人々のつながり」をテーマに、初となる大規模な屋外彫刻《Magnus Rinn》を展示。この作品は、円環の流れるシルエットが特徴的で、ブロンズから木材、金箔へと素材が移り変わり、ウォルシュの手の痕跡を残した質感が、自然と人間の関係を視覚的に表現している。作品全体が金箔で覆われ、木目が金箔の下から浮かび上がるような仕上がりになっており、時の流れと共生の象徴として、アイルランドパビリオンを代表する作品となる。

設置中の《Magnus Rinn》

 また、アイルランドと日本のアーティストがともに探求する普遍的な美の世界を紹介するグループ展シリーズ「RINN / 輪」が東京の2会場で開催される。

 今年新たに移転開館予定のアイルランドハウス東京では、「RINN / 輪 — アイルランドと日本を結ぶ『つくる行為』『地域性』そして『時の流れ』」(4月17日〜5月20日)が開催。アイルランドと日本のつくり手たちの交流から着想を得た本展では、両国を代表するそれぞれ6名の作家が参加し、両国の文化的対話が展開される。「循環(サーキュラリティ)」という概念を通じて、人々のつながりや場所との関係、過去と未来を織り交ぜた作品が展示される。

アイルランドハウス展 展示風景
ジョセフ・ウォルシュ Enignum Forma Trinity 2025

 また、ア・ライトハウス・カナタでは、ウォルシュをはじめ、世界で活躍する日本人作家の安田侃と深見陶治、そして独自の抽象表現で世界的に評価されているアイルランド系アメリカ人の画家ショーン・スカリーの新作展「RINN / 輪 Part II『Quadrumvirate 四重奏』」(4月17日〜30日)が開催。スカリーが初めて手がけるテキスタイル作品なども展示される予定であり、期待が高まる展示だ。

ショーン・スカリー&モーン・テキスタイル Translation 2 of drawing SS4412 2025
安田侃 妙夢 2002
深見陶治 天空〈遥〉 2021

 大阪、東京の3か所で同時に展開されるこれらの展覧会は、アイルランドと日本のアートシーンがどのように交差し、融合していくのかを実感できる貴重な機会となるだろう。ぜひ、それぞれの会場に足を運んで楽しんでほしい。