2026.4.1

アフリカの次世代を担う5名が決定。「THE TOYOTA TSUSHO CFAO African Art Award」初代受賞者が発表

豊田通商とCFAOによる国際的アートアワード「THE TOYOTA TSUSHO CFAO African Art Award」の第1回受賞者5名が決定。最優秀賞1名、優秀賞2名、スポンサー賞2名が選ばれ、アフリカ、日本、フランスを巡回する展覧会も予定されている。

前へ
次へ

 豊田通商株式会社とCFAOは、アフリカの若手芸術家を支援する国際アワード「THE TOYOTA TSUSHO CFAO African Art Award(AAA)」の第1回受賞者を発表した。2025年に創設された本アワードは、アフリカの未来を芸術の力で切り拓くことを目的とし、若手作家の発掘と育成、そして国際的な発信の機会創出を掲げている。

 対象となったのは、アフリカ54ヶ国の若手芸術家。選考には世界各地のキュレーターや批評家35名が関わり、約100名の候補者から12名が選出された。その後、リチャード・ビエル(CFAO社長)、 貸谷伊知郎(豊田通商取締役副会長)、長谷川祐子( キュレーター、美術評論家、金沢21世紀美術館元館長)、クリス・デルコン(キュレーター、美術館ディレクター、カルティエ現代美術財団マネージングディレクター)ら10名の国際審査員による審査を経て、最終的に5名の受賞者が決定した。

 本アワードはたんなる顕彰にとどまらず、展覧会や制作支援を通じて持続的なキャリア形成を後押しするプラットフォームとして構想されている。受賞者の作品は、2026年6月にトーゴのパレ・ド・ロメでの展示を皮切りに、日本、フランスへと巡回予定だ。

 最優秀賞に選ばれたのは、ジンバブエ出身のモファット・タカディワ。ジンバブエ・ハラレのポリテクニック・カレッジにてファインアートのディプロマ課程を修了。これまでに、第60回ヴェネチア・ビエンナーレ(2024)、サンパウロ・ビエンナーレ(2025)をはじめ、国際的に作品を発表してきた。

モファット・タカディワ ©InstanT Production

 優秀賞のひとりであるコンゴ民主共和国出身のゴゼット・ルボンドは、2014年にキンシャサの美術アカデミーにてビジュアル・コミュニケーションを専攻し、卒業。これまでに、カンパラ・ビエンナーレ、ルブンバシ・ビエンナーレをはじめとするビエンナーレやグループ展に参加しており、2024年には日本の弘前れんが倉庫美術館でも作品を発表した。2021年には、パリ・フォトに出展する新進作家に毎年授与される「メゾン・ルイナール・プライズ」を受賞。22年には、UCLAのファウラー美術館作品が発表された。作品はケ・ブランリ美術館など様々な美術館に収蔵されている。

ゴゼット・ルボンド ©gosette lubondo studio

 同じく優秀賞に選出された南アフリカ出身のウナティ・ムコントは、南アフリカのネルソン・マンデラ大学にて建築学の学士号を取得。また、ヨハネスブルグを拠点とする「アーキテクチャー・フォー・ヒューマニティ」にてデザイン・フェローとして活動。近年の主なレジデンシー参加に、ツァイツ アフリカ現代美術館における「TOLET」、A4アーツ・ファンデーションでの「AVOID」などがある。

ウナティ・ムコント ©Kwei Shun-Yu

 スポンサー賞は2人。Toyota Tsusho Awardを受賞したボツワナ出身のカトレゴ・C・L・トワラは、スウェーデン・アカデミー・オブ・リアリスト・アートおよびバルセロナ・アカデミー・オブ・アートで学び、確かな技術的基盤に裏打ちされた制作を行っている。2024年には「ニュー・エマージェンス・アート・プライズ」 を受賞。25年には、バナナ・クラブ・アーティスト・ファンドとともに参加したラティチュード・アートフェアが初のアートフェア出展となり、ソロブースは完売を記録した。

カトレゴ・C・L・トワラ ©Sibusiso Tshabalala

 いっぽうCFAO Awardを受賞したのは、エチオピア出身のティズタ・ベルハヌ。2013年にアディスアベバ大学アレ・スクール・オブ・ファインアーツ・アンド・デザインを卒業。24年には、アディスアベバのアディス・ファインアートで個展「Agape」を開催した。これまでに、ナイジェリア、南アフリカ、スウェーデン、アメリカ合衆国において、グループ展および個展を多数開催している。

ティズタ・ベルハヌ ©Lucy Emms

 本アワードは、アフリカ、アジア、ヨーロッパを結ぶ新たな文化的回路の構築を目指すものでもある。企業主導の枠組みでありながら、キュレーションや国際的審査体制を通じて高い独立性と専門性を担保している点も特徴的だ。 今回選出された5名は、それぞれ異なる地域やメディアを背景にしながらも、現代アフリカの多様性と創造性を体現する存在といえるだろう。本アワードが彼らの活動をいかに国際的文脈へ接続していくのか、今後の展開が注目される。