EXHIBITIONS

生誕100年 中村正義 ―その熱と渦―

2025.04.12 - 05.18

中村正義 舞妓 1963 中村正義の美術館蔵

 平塚市美術館で「生誕100年 中村正義 ―その熱と渦―」が開催されている。

 中村正義(1924〜77)は愛知県豊橋市生まれ。1946年に中村岳陵に師事し日展の画家として前途を嘱望されたが、61年には日展を脱退し、川崎市細山に転居した。以後77年に52歳で没するまでの16年間を川崎に住んだ。60年代以降の社会的な激動のなかで現代人の感覚と乖離し旧態依然とした日本画壇に抗し、日本画の概念をくつがえすような前衛的な画風を展開した特異な画家とみなされてきた。

 いっぽう、同時代の作家たちとも深く関わり評論家針生一郎とともに立ち上げた「日本画研究会」、異色の美術グループ「人人会」の創立、多様なジャンルの表現者を取り込んだ芸術祭「東京展」の構想へと至るとともに、病没した三上誠の回顧展の開催や若い画家たちへの支援を行うなど、ジャンルや世代を超えて「つながる」ことを重視した作家だった。52歳で病没したが、その短い生涯は様々な人間に影響をおよぼすとともに、そうした交流によって正義のじつに多様な画業の変遷が生み出された。
 
 本展では、正義の代表作を中心に構成するほか、その深い交友関係にも着目し、関連作家の作品もあわせて紹介。また映画や舞台美術、住宅デザインや写楽研究などの多様な活動にも焦点をあてることで、あらためて正義の実像に迫る。