EXHIBITIONS

カルン・タカール・コレクション

インド更紗 世界をめぐる物語

白地チューリップ虫文様更紗裂 1700〜30年頃 Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley

 東京ステーションギャラリーで「カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語」展が開催される。

 インドで生まれた更紗はその誕生から数千年の歴史のなかで、衣服や宗教儀式、室内装飾など様々な用途に使われてきた。天然素材の茜と藍を巧みにもちいて、染織の難しい木綿布を色鮮やかに染め上げてつくられた更紗は、のびやかで濃密な文様が大きな特徴だ。また、染色の驚異的な堅牢性も、世界中の人々を驚かせた。

 更紗は主要な交易品として、おそくとも1世紀には東南アジアやアフリカへとわたり、17世紀にはヨーロッパ各国で相次いだ東インド会社の設立に伴い世界中へと輸出された。貿易を通して他国の要望に応じたデザインを自在に展開しつつも、力強いインドの美意識を内包するインド更紗は、装飾美術から服飾まで世界中のあらゆる芸術に多大な影響を与えた。

 本展ではインド国内向けにつくられた最長約8メートルの完全なかたちで残る更紗の優品から、アジアとヨーロッパとの交易で生み出されたデザインを伝える掛布や服飾品、そして国内のコレクションも交えた日本での展開を伝える貴重な作品を展覧。また本展では、世界屈指のコレクター、カルン・タカールのコレクションを日本で初めて紹介する。